業務適正化に係る自主ルール

1.目的
本ルールは、家賃債務保証事業が我が国の経済社会において果たす重要な役割に鑑み、家賃債務保証事業の業務の運営に関する基準を定めることにより、その業務の適正な運営を確保し、建物賃貸借契約における賃貸人・賃借人双方の利益の保護を図ることで入居の円滑化・合理化を促すとともに、家賃債務保証事業の普及・整備と健全な発展を促進し、もって国民生活の基盤となる賃貸住宅の安定的な供給と、不動産賃貸事業の経営の安定化を図ることを目的とする。
2.定義
建物賃貸借契約に基づき賃借人が賃貸人等に対して負担する賃料等の債務の全部または一部を「保証契約」「債務引受契約」その他契約により会社、社団、財団、NPO法人その他の団体が業として負担し、賃貸人等に対して支払義務を負うことを、家賃債務保証事業とする。
3.自主ルールの遵守
家賃債務保証事業者協議会を構成する家賃債務保証事業者(以下「会員」という。)は、居住用賃貸住宅に係る保証業務を適正に行うため、本ルールを遵守する。
4.家賃債務保証事業に係る契約の理解
会員は、家賃債務保証事業の契約の締結までに、契約申込者に対し、自ら若しくは仲介事業者等を通じて次の事項について十分に理解を得るよう努めるものとし、契約申込者に対し、契約書面だけでなく、次の事項をわかりやすく説明する資料を配布する。
  • (1)会員の商号および名称、住所、連絡先、相談窓口
  • (2)保証の範囲および内容
  • (3)家賃債務保証契約に係る費用、期間、更新に関する事項
  • (4)弁済に係る求償権を契約申込者(賃借人)に行使する旨
  • (5)遅延損害金等を含めた求償する額の内容
5.契約申込者の審査
会員は、家賃債務保証事業の契約申込者の審査に関し、次の事項を遵守する。
  • (1)家賃債務保証事業の契約申込者の審査に当たっては、会員は信義誠実の原則に基づいて公正に審査を実施するものとし、差別的取り扱いその他、審査の適正を損なうような審査を行ってはならない。
  • (2)契約申込者の信用情報の管理については、プライバシーの保護に十分に留意し、不必要な事項の調査、調査事項の目的外使用等が行われないよう、研修その他の日常的な社員教育等に取り組む。
  • (3)個人情報保護法等の各種法令を遵守し、個人情報の保護に努める。
6.求償権の行使
会員は、求償権の行使に当たっては、各種法令を遵守するとともに、公序良俗に反する手段を用いてはならない。また、会員は、次に定める事項を行ってはならず、または保証契約書や保証委託契約書等の契約条項に記載してはならない。
  • (1)次項に定める方法により契約者及び関係者(以下「契約者等」と言う。)の平穏な生活を侵害する行為をすること。
  • (2)年利14.6%を超える遅延損害金・損害賠償・違約金等を請求すること。
  • (3)次項に定める方法により契約者等に対し損害を及ぼすおそれのある行為をすること。
  • (4)契約上民法第459条1項前段及び同第460条に定められた事前求償権の行使事由以外に基づき事前求償権を行使すると定める場合において、消費者契約法第10条や公序良俗に反する定めをすること。
  • (5)会員が代位弁済等の手続きを行うに際して、契約者に対し消費者契約法第10条に反するような高額な費用を請求できる旨定めること。
  • (6)弁護士法第72条に違反する方法で、賃貸人の代理人として訴訟行為をすること。
7.求償権の行使に関する細則
  • (1)前項(1)に定める契約者等の平穏な生活を侵害する行為は、法令上認められている場合や契約者等の承諾がある場合等の正当な理由がないのに、次の行為をする場合をいう。
    • ① 貼り紙、文書掲示等により、契約者に賃料債務又は求償債務の滞納が生じている事実を契約者等以外の第三者に明らかにすること。
    • ② 社会通念に照らして不適当と認められる時間帯(午後9時から午前8時まで)に契約者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は契約者等の居宅を訪問すること。
    • ③ 契約者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけ、電報を送信し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は契約者等の勤務先その他の居宅以外の場所を訪問すること。
    • ④ 契約者等の居宅又は勤務先その他の債務者等を訪問した場所において、契約者等から当該場所から退去すべき旨の意思を示されたにもかかわらず、当該場所から退去しないこと。
    • ⑤ 契約者等に対し、前各号のいずれかに掲げる言動をすることを告げること。
  • (2)前項(2)に定める遅延損害金等には、下記の費用を除くものとする。
    • ① 強制執行費用や競売費用等、公の機関が行う手続に支払うべき費用
    • ② ①以外の法令で認められる弁済費用(郵便費用等)
  • (3)前項(3)に定める契約者等に損害を及ぼすおそれのある行為は次の場合をいう。
    • ① 法令上認められている場合や契約者等の承諾がある場合等の正当な理由がないのに物件に立ち入ること。
    • ② 法令上認められている場合や契約者等の承諾がある場合等の正当な理由がないのに、物件への入居を完全に排除する物理的な措置を講じること。
    • ③ 法律または契約上の権限その他正当な理由がないのに、賃貸借契約上の解除権を代理行使すること。
    • ④ 法令上認められている場合や契約者等の承諾がある場合等の正当な理由がないのに、物件の明渡完了前に動産の搬出・処分を行うこと。
    • ⑤ 契約者等の動産を適法に保管できる場合であっても、その保管状況等について一切の責任を負わない旨を約定すること。
8.その他
会員は、各々が消費者相談窓口を設置するとともに、従業員に対するコンプライアンスを徹底するべく社員教育に取り組む。
9.違反した場合の措置
会員が本ルールに違反したときは、家賃債務保証事業者協議会は、別に定める自主ルール運用に関する規定に基づき、同規定に定める倫理紛争審査会における審査の上、同規定に定める措置を講じることとする。
10.附則

本ルールの変更は平成21年10月1日より施行する。
本ルールの変更は平成24年7月9日より施行する。
本ルールの変更は令和4年5月25日より施行する。

PDFはこちら