トピックス・お知らせ

住宅等の省エネ対策の方向性

2008年1月15日

国土交通省は昨年末、「住宅・建築分野における今後の
省エネルギー対策の方向性(案)」を発表。今後講じるべき
省エネ対策の方向性を示したものであり、1月28日まで広
く意見を募集している。国際条約(京都議定書)で政府が
公約した二酸化炭素等の排出量の抑制は、産業部門では
順調だが、民生部門(一般家庭等)では難航。削減目標
達成の施策を平成20年度から講じることになっていること
から策定された。

今後実施される省エネ対策は、中小規模の住宅等においても、
建築や維持のコスト・労力に大きな影響を与えることになりそうだ。
家主や建築会社、管理会社においては、原案を一読することを
お勧めする。

<今後の対策の方向性(案)の概要>
 (要約に当たり、表現を大幅に換えている箇所もあります)

1.今後の充実・強化の方向
 ・省エネ性能の一層の向上を図るため、建築主等に一定の
  省エネ措置を講じる努力を求めることに加え、規制的手法
  の充実・強化も必要となる。
 ・建築段階で一定の省エネ性能が確保されるようにするだけ
  でなく、適切な維持保全が行われ、効率的な使い方にも
  配慮がなされるように措置を講じることが必要。

2.届出制度の充実・強化
 ・床面積2千平米以上の建築物は省エネ法(新築時と一定規
  模以上の増改築時に省エネ措置を講じる努力義務、省エネ
  措置を行政庁に届け出る義務)によって一定の効果を上げて
  いる。この義務の対象を2千平米未満の中小規模建築物にも
  拡大する必要がある。特に賃貸住宅は省エネ性能が賃料に
  反映されにくいことから、こうした措置の対象に含める必要性
  が高い。

3.事業者の能力の活用
 ・個人が建築主となる場合の多い個々の新築戸建住宅に届
  出制度等を導入するのは、行政コスト等の観点から難しい。
  ただし、販売等を目的に建築主として継続的に相当量の
  住宅を建築する事業者には、省エネ性能を確保した住宅
  の販売等を求めるべき。
 ・個人が建築主となる注文住宅等については、設計者や
  施行者が、建築主である消費者に省エネ性能向上に関
  する助言や提案、説明を行い、建築主が適切な省エネ
  措置を選択できるようにする必要がある。
 ・建築主と利用者が異なるテナントビルは、エネルギー
  コストだけでなく、企業の社会的責任も含め、利用者
  の意向を通じて、省エネ性能の高い建築物の建築を 
  誘導することが必要。

4.実効性を向上させるための措置
 ・設計者や施工者等が適格に対応できるよう、省エネ判断
  基準の明確化・簡素化に努めるとともに、周知を徹底す
  る必要がある。
 ・省エネ判断基準への適合性を審査するために、行政庁の
  体制整備と併せて、技術的能力を有する民間機関の活用
  を検討すべきである。

5.省エネ性能のさらなる向上のための措置
 ・省エネ性能に関する基準は、継続的な見直しを行い、
  建築材料や建築設備の性能の向上や普及状況等に
  応じて引き上げていくべきものであり、こうした取り組み
  を継続することが大切である。

6.総合的対策
 ・共同住宅の家電等の設備は持ち込みが多いが、共同住宅
  の専有部分および戸建住宅について、可能なものは建築
  設備を省エネ評価対象に追加する必要がある。
 ・建物外皮の断熱性と建築設備の効率性とを総合化した省
  エネ性能に関して、簡便かつ高精度の評価手法を開発・
  普及する必要がある。

7.既存ストックの対策の推進
 ・住宅等の所有者等に、省エネ性能向上の必要性や効果に
  理解を促すための情報提供を進めるとともに、省エネ改修
  を促進するための税制上の特例措置などのインセンティブ
  を付与する必要がある。また省エネ改修は、耐震改修や
  増改築と同時に実施することが効率的・効果的であること
  から、こうした改修工事との一体的実施を促進する必要が
  ある。
 ・窓、外壁、天井、床等の部位の改修や、主要な居室のみの
  改修など、取り組み易く効果的な改修方策についての技術
  開発や情報提供を進めるとともに、住宅性能評価の充実な
  ど、既存ストックの省エネ性能の評価手法を開発する必要
  がある。

8.評価・表示の充実
 ・特に住宅等の販売または賃貸を行う事業者に対して、省エネ
  性能の的確な情報提供を行うよう促すこと(また、評価・表示
  の仕組みの整備)が必要である。

今後の対策の方向性(案)や意見の送り先はこちら
http://www.mlit.go.jp/pubcom/07/pubcomt144_.html

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