取組事例インタビュー

神奈川県下で7年連続、売上高1位のウスイホーム
― 就業規則の変更や電子化に取り組む ー

神奈川県下で6年連続、売上高1位のウスイホーム
ウスイホーム株式会社(神奈川県)
不動産管理部 執行役員 不動産管理部部長 山本賢二さん
取材日:2021年3月11日

 ウスイホームは、不動産仲介・売買と建売事業を主体に、昭和51年に創業しました。横須賀市久里浜に本社を構え、横須賀、横浜、湘南エリアを中心に事業を拡大してきました。また、横須賀という立地を生かし、2010年には、アメリカ海軍向け賃貸専門店も開設しています。

移住地としても人気高まる久里浜 移住地としても人気高まる久里浜 (写真は駅周辺)

不動産事業を軸に、自社運営の保育園の開設や高齢者住宅や施設の紹介など、地域に根ざした展開で事業を拡大。社員数は約300名で、年間売上高は、113億円を突破しています(2020年3月期)。不動産代理業・仲介業の分野では、神奈川県内で7年連続売上高一位となっています。
(帝国データバンク調べ)
取材で訪問した3月中旬、オフィス内は、改装工事の真っ只中でした。

―― コロナ対策の工事ですか?

山本部長 それもありますが、組織体制、営業所の配置など含め様々な改編を行っているところです。
不動産管理部には、4つの課があり、家賃管理、契約書管理、施設管理(建物管理)、更新管理、に分かれています。
今回、施設管理と営業課のフロアを一緒にすることでより情報共有しやすい環境を整えることにしました。

―― 神奈川県下で7年連続売上高1位になっています。事業は多岐にわたっておられますが、賃貸管理を担う部署の状況を教えてください。

山本部長 不動産管理部の社員は35名で、賃貸住宅について有償管理が5600戸、駐車場管理2400区画、テナント管理280店です。有償管理のうちの298ユニット(戸)が米軍住宅で4名で対応しています。これ以外に更新手続きのみを行う無償管理が2500戸あります。
仲介店舗は14店舗で、40名の社員が賃貸営業を担っています。

―― コロナ禍で在宅、出勤はどのように分けましたか。

山本部長営業課は、在宅勤務が可能でしたが、施設管理課と更新管理課は、紙での管理がベースになっており、在宅勤務ができませんでした。
一方、家賃管理課は、絶対に止まってはならない送金業務を扱う部門ですから、急遽設けたサテライトオフィスに人員を分散し、3カ所で対応しました。

―― コロナ禍で「就業規則」の変更をされたと聞きました。

山本部長コロナ禍で、というよりも、もともと予定していたことがコロナにより加速されどんどん実行されていったという感じです。変更したのは、パソコンの社外への持ち出しの許可、個人情報の管理規定、リモート対応、フレックスタイムの導入、押印システムなどです。
2021年1月には「楽楽勤怠」と「楽楽精算」を導入しWEB上で勤怠、小口精算をできるようにしました。ですから営業現場よりも、内勤スタッフの在宅環境が整う方が早かったです。

―― 緊急事態宣言下での、仲介店舗の状況を教えてい下さい。

山本部長当初短縮営業も検討しましたが、実際のところ、直接来店されるお客様が減ることはなく、検温器の設置やパーテイションなど感染防止対策を講じた上で、通常通り営業をしました。
実は、緊急事態宣言を受け、すぐにホームページのトップ画面に「リモート相談」のポップ表示を作ったのですがあまり大きな効果はなく・・・。さすがに来店を希望するお客様を断る、ということはできず通常営業をした、という流れです。
このため普段公共交通機関を使って通勤している社員にもマイカー通勤を許可し、パーキング代は会社で負担するなど措置を講じました。

―― 管理物件のオーナー対応はいかがでしたか。

山本部長やはり地域密着で44年間やってきているお陰もあり、電話にしろ対面にしろ、問題なくできました。逆に大変だったのが入居者対応です。昨年の4月〜5月にかけては反響数がかなり増えました。ステイホーム中部屋探しをする人が増えたことが要因と思いますが、対応しても返信がないお客様も多かったです。

―― 御社の営業エリアは海が近く、「移住ニーズ」も高そうです。

山本部長実は、東京から横須賀に移り住む方の成約は、今年の3〜5月の3カ月をみてもかなり増えています。
今まで売れなかったような、バス便の戸建てや新築住宅もよく売れました。グループの分譲部門では、前年比売上130%UPと聞いています。
弊社商圏エリアでのアパート投資についても現金で購入される方が増えました。株が高いので割安なアパートに食指が動いているのを感じます。実際、移住してくる人で入居率も上がっているため、空室リスクが減っていることをプロの投資家は見抜いていますね。

―― 「電子化」のついての戦略を教えてください。
紙での管理からデータへの移行を図っている 紙での管理からデータへの移行を図っている
山本部長まず、入り口の、入居申し込みと審査の電子化から進めています。対面接客時は、手書きではなく入力で行っていただくことを原則としています。
そうすることで基幹システムにリアルタイムで申し込みが反映されるため、入居希望のダブルブッキングがなくなりました。
次に取りかかりたいのが、更新と退去です。ここはまだ進んでいません。電話で受付けて、書類を発送する手順です。返信があればそれをこちらで入力します。これを電子化するには、まず入居者にメールアドレス・電話番号の確認を行うところから始めなければなりません。また、紙で欲しいというオーナー様が多いこともハードルになっています。
ですからまずは入り口から電子化し、順番を追って変えていくつもりです。
契約書を一枚ずつスキャンし、保存している
―― 契約書管理の電子化についてはいかがでしょう。

山本部長紙で保管しておくと、かなりのスペースを取るため、まずは駐車場の契約書の電子化から始めています。
駐車場であれば重要事項説明書の原本を持つ必要がなくコピーだけですから、全てスキャンして電子化を進めています。
賃貸借契約書の場合は、全てスキャンしたとしても、押印してある原本を捨てるという作業は精神的なハードルが高いので、原本の保管方法を整備した上で、電子化に向かうつもりです。
実は店舗ごとの電子化は10年くらい前から行っていて、契約が終われば全てスキャンをするという仕組みはできているのですが、全ページ漏れなくスキャンされているかの二重チェックの仕組みまではありません。売買、賃貸合わせると月に400件近い契約がありますから、チェックだけでも専任スタッフを配置しなければならないでしょう。
ただ、10年以上に渡ってスキャンがルーティンになっているので、今後は順次、管理システムと紐づける作業をしていこうと思っているところです。

―― 電子化が整うことが、在宅ワークの環境にもつながっていくのでしょうね。それ以外に検討されていることはありますか。

山本部長解約や車庫証明の届出、物件内の造作申請などをWebで行う仕組みを協議しています。
解約業務は簡単なようで、管理する戸数が増えれば退去の数も増えますから、負荷も大きいです。また保険の解約、精算、退去立ち合いなどもありますから。この辺りは外部へのアウトソースも行いながら効率化を検討していきたいですね。

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