住宅設備の点検を義務づける法改正
賃貸住宅に備え付けている給湯器やエアコン等の設備
に関して、家主や管理会社は間接的に、メーカーの点
検を受ける義務が生じることになりそうだ。
30年間使用した旧式扇風機で火災(死亡)事故が発生
するなど経年劣化による製品事故が相次いでいるため、
経済産業省は消費生活用製品安全法(主に事故情報の収
集・告知のための法律)を改正する考え。改正案は今国会
に提出され、成立すれば来年中に施行される見通し。
改正法に基づいてメーカーが行う点検は有料になると
いわれている。しかし、点検を依頼しなかった湯沸器
や風呂釜で火災等の事故があった場合、その機器を所
有する家主には、過失が認定されてしまうかもしれない。
改正案の柱は点検通知制度と表示制度。
(施行後に販売される製品が対象)
1.点検通知制度
・事故発生率の高い製品について、製造や使用開始から
一定期間経過したとき、製品の所有者に点検を求める。
メーカーには点検・修理に応じる義務を課す。
・対象となる製品は、ガス湯沸かし器(二品目)、
ガス風呂釜(二品目)、石油風呂釜、石油給湯器、
石油温風機、食器洗い乾燥機、浴室乾燥機。
・具体的には、次の手順が想定されている。
1)メーカーが商品にカードを同封。
2)消費者は連絡先等を記入したカードを返送。
3)点検が必要な時期(おおむね10年後)が
来たら、メーカーは消費者にその旨を通知。
4)消費者の希望があれば、メーカーは点検や
修理に応じる(有償)。
5)メーカーは、重大事故やリコール情報も通知する。
2.表示制度
・普及率が高く、長期間使用される家電製品について、
メーカーに注意喚起の表示を義務づける。
・対象となる製品は、テレビ、扇風機、エアコンなど。
その他の製品については今後の検討。
・表示を義務付ける項目は、製造年月日や耐用年数、
点検が必要な時期、老朽化で事故が発生する可能性
に関する注意喚起など。表示方法は、製品本体への
印字、またはシールの貼付。
3.その他
・点検通知制度と表示制度は、改正法の施行後に
販売される製品が対象。
・すでに販売された製品については、サポート申し入れ
への対応をメーカーに義務づけるほか、点検等に関す
る広報の強化を要請する。