【公正取引委員会】原材料価格等の上昇に係る適切な価格転嫁等について
この度、公正取引委員会より、原材料価格、エネルギーコスト等の上昇に係る適切な価格転嫁等について案内がありましたので、会員の皆さまにお知らせいたします。
公正取引委員会が昨年12月27日に公表した『独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査の結果について』に関して、不動産管理業者も調査の対象となり、独占禁止法(昭和22年法律第54号)に違反すること又はそのおそれを認定したものではないものの、下記の昨年2月に公表された独占禁止法Q&A(以下「Q&A」といいます。)の1又は2に該当する行為が認められた企業に対して注意喚起文書が送付されました。
また、受注者からの値上げ要請の有無にかかわらず、取引価格が据え置かれており、事業活動への影響が大きい取引先として受注者から多く名前が挙がった発注者であって、かつ、多数の取引先についてQ&Aの1に該当する行為が確認された事業者については、独占禁止法第43条の規定に基づき、企業名の公表がなされております。
本緊急調査の対象とされた行為に関しては、Q&Aにおいて、労務費、原材料費、エネルギーコスト等のコストの上昇分を取引価格に反映せず、従来どおりに取引価格を据え置くことは、優越的地位の濫用の要件の1つに該当するおそれがあり、下記のとおり、Q&Aの1及び2の2つの行為がこれに該当することが明確化されています。
1 労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと。
2 労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストが上昇したため、取引の相手方が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理由を書面、電子メール等で取引の相手方に回答することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと。
不動産管理業においては、多くの場合、下請事業者から下請代金改定の申し出があれば交渉に応じ、申し出がなければ下請代金を据え置いているものと認識しています。
この点について、公正取引委員会によれば、下請事業者から下請代金の改定等の申し出がなかったとしても、下請事業者が取引を切られてしまうなど受注に与える影響を考えると実際に申し出ることは難しい等の理由で積極的に申し出がしにくい状況があることから、コスト上昇分の取引価格への反映の必要性についての協議の場を積極的に設ける必要がありますので、適切な対応をお願いします。
なお、不動産管理業者が下請事業者に発注する業務には、設備の点検、清掃業務等の役務関係の発注も多く、不動産管理業者と下請事業者の資本金の組み合わせによっては、下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号)の適用がある場合もあり、その場合にはQ&Aの1又は2に該当する行為と同様の行為が、同法上の「買いたたき」に該当するおそれがあることが、昨年1月に改正された「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」(平成15年公正取引委員会事務総長通達第18号)の第4の5(2)ウ及びエにおいて明確化されています。
【参考:公正取引委員会HP】
・独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査の結果について
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/dec/221227_kinkyuchosakekka.html
・よくある質問コーナー(独占禁止法)(独占禁止法Q&A)
https://www.jftc.go.jp/dk/dk_qa.html
・独占禁止法
https://www.jftc.go.jp/dk/dkgaiyo/index.html
・下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準
https://www.jftc.go.jp/shitauke/legislation/unyou.html
・下請代金支払遅延等防止法(下請法)
https://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukegaiyo/index.html
◆「知って守って下請法」はこちら
https://www.jftc.go.jp/houdou/panfu_files/shittemamotte.pdf
◆「独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査の結果について」はこちら
https://www.jftc.go.jp/houdou/panfu_files/yuuetsu.pdf
◆「優先的地位の濫用~知っておきたい取引ルール~」はこちら
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/dec/221227_kinkyuchosakekka.html
以 上