取組事例インタビュー

「不動産は担当者で選ぶ時代」見据えて
― オンライン上での相談・接客・重説強化 ー

管理戸数119万戸の巨人
エルシーズ株式会社(東京都)
代表取締役 渡邉圭太さん
取材日:2021年3月15日
サンコーすまいる株式会社 大学時代はラグビー部に所属 背番号は「1」

 エルシーズの渡邉圭太社長は、芝浦工業大学の工学部応用化学科を卒業後、新卒でリゾートトラストに入社し、その後2社の不動産会社を経て35歳で独立しました。大学時代はラグビーに明け暮れ、気が付けば学生生活は6年間に及んだそう。しかしその後の7年間は気持ちを切り替え、リゾートトラストで会員権の販売営業に奔走します。厳しい営業現場ではありましたが、数字をあげつつ、富裕層と対峙する上で大切なおもてなしやホスピタリティの精神はこのとき身につけました。

2019年10月にエルシーズを設立し、営業を開始したのは、2020年2月で、コロナ禍真っ只中でした。社名のエルシーズには、Clean, Change, Challenge, Confidence, Community、など様々なCがリンクすることを目指し名付けたと語ります。
―― 創業の苦しみと、コロナ禍の大変さを二重に背負うスタートでしたね。

渡邉社長 40歳までには独立したいという思いがあるなかで、たまたまコロナがきました。スタッフは4名で、事業内容は、賃貸仲介、賃貸管理、そして売買です。比率は、4:4:2といったところです。

―― 本日お邪魔した事務所は、起業家向け事務所のリージャスですが、いわゆる仲介店舗という形態は取られていないのでしょうか。

渡邉社長事務所は、来店を促す店舗としてではなく、あくまでも事務所としての利用という考えから、必要に応じて契約などができる最低限のサイズがあれば十分ということでリージャスを選びました。

―― オンラインでの集客に力を入れていらっしゃるようです。

渡邉社長独立する前、不動産会社に勤めていた時から、突然来店されるお客様に対しては、ありがたいけれど、しっかりと準備できないというもどかしさを感じていました。今は、ネットで場所を選ばず紹介できる時代です。どっしりと店舗を構えるのではなく、最低限の広さの事務所を確保しながら、オンライン上に店舗があれば十分なのではないかと思っています。

―― オンライン上に店舗があるとはどういう意味でしょうか?

渡邉社長今の家の探し方の主流は、ポータルサイトから入ってこられる「物件ありき型」です。しかし私が目指しているのは、「相談ありき型」のオンライン店舗です。
お客さんは普通の店舗に行くとの同じ感覚で、オンライン上で来店し、それぞれご相談する、という形です。実は、つい最近、海外からのお客様の仲介をオンラインでお手伝いさせていただき、
一度も会うことなく契約に至りましたが、そうしたことも今後は可能になると考えています。しかしながら、売買の契約には事務所が必要ですし、免許を登録するにも事務所が要りますから、完全なオンライン店舗を実現するにはもう少し時間がかかりそうです。また、完全に自社で集客をしていくには、資金力も必要です。ホームページにオンライン接客の入り口を作り、いずれは目指すべきオンライン店舗を作りたいと思っております。

―― コロナによってそういった発想になったわけですか。
基本的に全員テレワークで仕事をして いる 基本的に全員テレワークで仕事をして いる

渡邉社長いえ、違います。コロナ前から、現地集合・現地解散、オンライン内見、契約となればお客様の家の近くまで行って重要事項説明をしたりと、なるべくお客様に手間を取らせない方法、店舗にきていただかなくていい方法を考えて実行してきました。
現地集合後にお申し込みとなった場合は、現地から元付けさんに電話して申込書をFAXしてもらい、それを手持ちのiPadに受信して取り込み、その場でapple pencilを使って書いてもらってPDFにし、その場から元付けさんにFAXするなど、なるべく少ない回数で済ませることを考えてきました。それがお客様に対するホスピタリティだと思っているからです。
ただ、管理会社様によっては「契約書は絶対事務所に送ります」とか、「鍵は郵送で渡さないでください」とか、色々なパターンがあるので、弊社のスタイルだけが通用するわけではありません。ただコロナにより、そういったことの許容範囲が広がったという印象はあります。

―― では、IT重説もかなりしているのですか。

渡邉社長基本的にIT重説です。夜間などに行うことが多いですが、コロナによりお客様の方もだいぶ慣れてこられた感じがあります。

―― 賃貸管理はどれくらいしていますか。

渡邉社長20戸で、分譲マンションの賃貸管理に特化しています。分譲マンションの場合、共用部の維持管理がありませんし、緊急出動もないため、管理料はいただいていません。売却や住み替えのご相談があれば対応するというスタイルです。このため、1棟物件の管理のご依頼があってもお断りしています。実際のところ、弊社の人数ですと、万一クレームやトラブルがあってもすぐには駆け付けられない可能性があります。ですから、自分たちができる範囲で事業を円滑に進めることと、入居者とオーナー様双方のメリットを考えた時、分譲マンションに特化するほかないと考えたのです。「管理料無料」もウリにしているわけではなく、いただく必要がないのでいただかない、というだけなのです。

―― 渡邉社長は、「できる・できない」を明確し、できることは磨き、できないことは削ぎ落とす、ということが得意なのかもしれませんね。

渡邉社長それは賃貸仲介にも当てはまります。実は、賃料15万円以上の1LDK以上しか仲介していません。物件はある程度選んで掲載しています。

―― 今後取り組みたいことはありますか。

渡邉社長やはり冒頭に申し上げたオンライン店舗ですね。オンライン接客をすると、お客様から「不動産業界でこういうことに取り組んでいる会社は珍しいね」と言われます。オンライン店舗では、仲介に限らず、オーナー様からのご相談にも対応できるようにしていきたいと思っています。
 管理戸数を増やしたいという思いもあります。また、前職の経験を活かし、例えばオーナーさんの誕生日や結婚記念日には何か少し演出をして喜んでいただけるようなこともしていきたいと思っています。
 いずれ必ず、「不動産は担当者で選ぶ時代」が来ると思っています。それまでに得意分野の専門性を高めていきたいと思っています。

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