「土地白書」「世帯構造の変化と賃貸住宅需要」
1.平成19年版土地白書
不動産投資の活発化により三大都市圏や地方の中心都市
で地価が上昇していることが、国土交通省が8日に発表
した平成19年版土地白書(18年度土地に関する動向、
19年度土地に関する基本的施策)で明らかになった。
その要因として、利便性や収益性の高い地域での土地需
要の増加や土地に対する意識が変化したこと(利用価値
を重視)を指摘している。
不動産証券化の市場が活発であり、土地需要の増加は主
に不動産の金融商品化の進展が原因とみられる。同書に
よると、上場企業の不動産取引のうちJリートまたは
SPCが買い手になる割合は年々増加。昨年度は買い手
の約7割がJリート等であり(売買価格ベース)、取得地
は東京都心だけでなく地方圏にまで広がっている。
昨年度の不動産証券化の実績は7兆8千108億円であ
り、前年度比12.7%増と大きな伸びを示している。
証券化不動産の用途別資産額割合は、オフィス30.8%、
住宅22.8%、商業施設15.9%、ホテル3.5%、
倉庫1.4%。不動産証券化というとひと頃は事業用不動
産が連想されていたが、住宅が占める割合は確実に大きく
なってきている。
また、同書は土地に関する今年度の基本的施策として、
低・未利用地等の有効活用の促進、良好な居住環境の
形成、不動産投資インデックスの整備等を掲げている。
土地白書はこちら
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/tochi/h19/h19tochi_.html
国土交通省は8日、不動産の証券化実態調査の結果を発表。
要点は上記白書に収録されていますが、証券化に特に関心
のある方は、こちらもご覧ください。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha07/03/030608_2_/01.pdf
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2.賃貸住宅需要は減少する?
賃貸住宅が今後も若年層(40歳未満)をターゲットにし
続けた場合、流入人口の多い東京都でも5年ごとに2%、
全国ベースでは5年ごとに5%から6%(約40万世帯)
の需要減少が続くと予想される。これはニッセイ基礎研究
所が1日に発表した「世帯構造の変化と賃貸住宅需要」の
レポート。
30から34歳の世帯数は、平成12年から17年に38
万世帯増加したが、22年には42万世帯の減少になると
予測。家族類型別にみると17年に増加した世帯の圧倒的
多数は70歳以上の高齢世帯であることから、高齢者を
十分に取り込めていない賃貸住宅市場は、若年世帯減少の
影響を強く受けると考えられる。そこで同レポートは上記
のような需要減少に至ると分析している。なお、需要の
増加に向けた指摘は次の通り。
・40歳以上の年代の「単身世帯」や「1人親とこども世帯」
「夫婦のみの世帯」などの賃貸住宅居住比率を高めること
が不可欠である。
・特に、世帯数の増加が著しい70歳以上の高齢者世帯の
取り込みは非常に効果が高いと考えられる。
・同じ「単身世帯」でも、20歳代と40歳以上、そして
70歳以上では、所得、居住場所、居住面積、生活スタイ
ルなどが大きく異なるため、ターゲット層の違いを明確に
認識したマーケティングが必要になるだろう。
賃貸住宅の建築企画や管理に携わる方は、
次のページからレポートをご一読ください。
http://www.nli-research.co.jp/report/misc/2007/fudo070601.pdf